シネコンの座席予約システム
シネマコンプレックス「新宿バルト9」の驚嘆すべき大バカ最低システム - 檜山正幸のキマイラ飼育記
ブックマークコメントなどがインタフェースに集中しているようなのでちょっと視点を変えて考えてみようか。「インタフェースの改善によってスループットが向上してデッドラインを守れるようになることに期待するのはいいが、それが期待通りにはいかない可能性と対策も検討した方がいいのではないか。」と。
イライラするインタフェースかデッドラインを守れないインタフェースかどちらかを選べと言われたら誰でも前者を選ぶだろう。発券・座席予約システムの「より優先順位の高い目的」はデッドラインを守ることであって、全員に席を割り当てることや空席率を最小化することはそれより低い優先順位しか持たないのだから*1。本当は開演時間を過ぎたチケットなど無価値なのに、それを正価で売ろうとする発券システムと、さばき切れないチケットをタダでくれるダフ屋のオヤジ、のどちらが道理に適っているかなど問うまでもないだろう。
件の檜山さんご一家のケースを考えると、デッドラインを守ることを優先するならば(そしてもちろんインタフェースの問題を棚上げするならば)、明らかに一家を次の回に回して個人やカップル客を優先的にスケジュールした方が良かった。にも関わらず、First-come, first-served (FCFS)でスケジュールしようとするからデッドラインを守れなくなってしまったのだ。
では実際に、FCFS以外のスケジューリングポリシーを採り得たか。というとそれは怪しい。
そもそも新宿バルト9に限らず、「現在の」座席の空席状況を顧客に見せてその中から選択させるというチケット発券システム全体がFCFSに特化されたものだからである(逆に空席状況が参照できない状況を想定するなら、顧客は発券システムが割り当てた上演回・席に着いて鑑賞するだけになる)。FCFSで割り付けられるものと期待してキューに並んでいる客がカウンターに着いた途端に優先度付きでスケジュールされたら(「おまいらの席ねーがら!次の回な!」)DQN逆ギレ間違いなしである。
つまり、本当に必要なのは、異なるスケジューリングポリシーを許す発券システムと、それを支援する(できれば効率の良い)インタフェースではないかと思えてくる。
優先度ごとにキューを設ける(つまり次回の上演用のキューを設ける)とか、ユーザに低い優先度を選択するインセンティブを与える(例えば、開演15分前〜開演5分後の間だけ次の回の価格を下げる)とかしたらどうだろうか。どちらも一見うまく機能しそうに見える方法だが、ローカルな最適化の困難さは変わらず、一つのキューにリクエストが集中する状況では効果が限定的なものにならざるを得ない。
他にもいろいろ考えたのだが、空席率が一定以下になったら残席数分の自由席しか売らないという方法だとうまく行くのではないか。もちろん自由席と並行して次の回の指定席も売るとして。これならどちらを購入するかで顧客が優先度を選択できるし、連続した席が必要な一家が次の回の指定席を選択する動機付けにもなる。
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